学校看護師支援チームについて
高度な医療的ケアを必要とする子どもであっても、教育を受ける機会を奪われないために
親子の未来を支える会では、胎児診断や障がい者に関する十分かつ適切な情報提供・収集を行い、すべての人が安心して豊かな社会生活ができるような社会作りを目指しています。
本事業では、地方などの人的リソースの限られた場所でも学校における高度な医療的ケアを安全に行えるようにすることを目標とし、自治体や学校、医療機関を横断する看護師のネットワークを構築しました。多くの学校では、人工呼吸器の管理などの高度な医療的ケアを安全に実施できる体制が整っていないため、親の常時付き添いが求められます。本事業では、看護師や教育関係者、医療関係者等がチームを組んで保護者や自治体に働きかけ、保護者の代わりに「学校看護師」が付き添うことで、高度な医療的ケアが必要な子どもの就学支援を行っています。
現在は2つの自治体と委託契約を行い、3つの保育園・小中学校の医療的ケア児の看護支援に携わっています。学校での医療的ケアの実践と共に、自立支援、看護師の人材育成、マニュアル作成等、包括的な支援に取り組んでおり、子供の将来を見据えた継続的な支援の体制づくりの実現を目指しています。
また、長野県須坂市において、子どもと家族、子育て・教育に携わるすべての方のための相談窓口「ももの木」を開設しました。
全国で医療的ケアに関する人的資源が確保されることをめざして
医療的ケア児の教育に課題を抱える市町村においても、人的資源確保の取り組みが広められるよう、学校看護師の人材育成や啓発活動にも力を入れました。
医療的ケアマニュアルや動画の作成、取り組みについての講演会を行い、教育現場における医療的ケアの安全性や子どもが学校に通い学ぶことの意義について理解を広めました。
2021年には、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が可決され、医療的ケア児の就学支援体制が広域的に広がっていくことが期待されます。
今後は、災害時の支援体制の構築や、これから成長する子どもたちの就労支援といった課題にも取り組んでいきます。
医療的ケア児に関わる医療職・教育職のネットワークが構築できることで、次のことが成果として期待しています。
①ネットワークにより、医療的ケア児に関わる関係者の孤立を防ぎ、連携がはかれる。
②ネットワークを活用した情報交換を通して、各地域での医療的ケア児支援の発展が見込まれる。
③ネットワークを活用した研修を通して、医療的ケア時支援における知識や技術の全体的な底上げが期待できる。
④ネットワークの活用により、医療的ケア児支援のニーズがある地域に、支援体制確立のアドバイスが行える。